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FastlaneがSwiftで書けるようになった〜

これはSwiftアドベントカレンダーの17日目の記事です。

Swiftの方はプラットフォームに依存しないエントリーを書くべきかと思いましたが、
FastlaneのSwift対応がタイムリーだったのでこっちにしました。
元はSwiftでTCPソケット通信を書こうと思ってたので、年末にでも。それでは本題へ

今回は下記のプロジェクトを元に紹介していきます。

https://github.com/matsuokah/fastlane-swift-samplegithub.com

Fastfileの設定ファイルやその周辺がSwiftで書けるようになりました

fastlaneがもともとRubyなのは周知の事実ですが、rubyの実装をSwiftから叩く実装が2.69.0から入りました。

Swift対応の実装方針としてはブリッジ、フック、そしてlane定義に分かれています。

ブリッジ: Rubyのコマンドをコールするラッパーを自動生成
フック: ブリッジファイルをコールしたり、エントリーポイントとなるコード lane定義: コマンド(ブリッジ部分)を叩いたり、ビルドの設定や環境変数を定義している箇所

そしてこれらが、xcodeプロジェクトで管理できるようになっています。
今回の一番のポイントは「慣れたエディタで慣れた言語をつかえる」。これだけで効率化のイメージが湧きますよね

早速使ってみる

fastlane init swiftでfastlane関連のSwiftのファイルが生成されます。

f:id:matsuokah:20171217013103p:plain

To edit your new Fastfile.swif type: open ./fastlane/swift/FastlaneSwiftRunner/FastlaneSwiftRunner.xcodeprojというメッセージが出ています。

生成されたプロジェクトの開いて、グループの構成をみると下記のようになっていて、基本的にはFastfile.swiftだけを編集すればOK

* Autogenerated API => いわゆるRubyのブリッジ部分
* Fastfile Components
* Networking => 文字通り
* RunnerCode => フック部分
* Appfile.swift, Fastfile.swift => 設定、ビルドフローの定義ファイル
* 各コマンド(Gymfile.swifなど)

このプロジェクトをビルドするとMacでexecutableなバイナリが出来上がります。
生成されたバイナリを介してfastlaneの部分が実行されています。また、fastlaneコマンドをつかって起動した場合、バイナリ自体のビルドもよしなに走るようになっています。

Fastfileを編集してビルドする

FastfileクラスはLaneFileクラスを継承しています。LaneFileには各実装が織り込まれているのでビルドフローを詳しく知りたい人は読んでみるといいと思います。

つけるメソッド名はdebugLaneのように接尾辞を付ける必要があります。理由はlaneを接尾辞にもつメソッドをフィルタしてlaneを見つけ出してフックしているためです

class Fastfile: LaneFile {
    var fastlaneVersion: String { return "2.69.3" }        
    func debugLane() {        
        buildApp()
        crashlytics(apiToken: "TOKEN", buildSecret: "SECRET")
    }
}

最低限の実装はこれだけで済むはずです。

ここからさらに ConfigurationやExport Methodなど、enumを定義してそれらを扱うクラスを用意すれば省コード化が可能になります。

enum Configuration: String {
    case debug
    case release

    var exportMethod: ExportMethod {
        switch self {
        case .release:
            return .appStore
        default:
            return .development
        }
    }
}

上記はConfigurationの列挙ですが、プロジェクトによってはstagingや準本番のような環境もあるかと思います。

それらの環境変数を洗い出したあとは変数のマネージャクラスを用意すればOK
すべて記載すると長いので、Protocolだけ記載しておきます

protocol BuildContextProtocol {
    
    // Xcode
    var workspace: String { get }
    var scheme: String { get }
    var configuration: String { get }

    // Build
    var buildDir: String { get }
    var ipaName: String { get }
    var ipaPath: String { get }
    var dsymName: String { get }
    var dsymPath: String { get }
    var exportMethod: String { get }
}

最終的には下記のようなコードに収まります。

    func debugLane() {
        desc("Submit a new Beta Build to Crashlytics")
    let buildContext = BuildContext()
    buildContext.build()
    crashlytics(apiToken: "TOKEN"
        , buildSecret: "SECRET"
        , ipaPath: buildContext.ipaPath
        , groups: Fabric.testerGroup, notifications: true
    )

    }

環境変数・コンフィグの切り替えを省コード化して書いてみたサンプルをおいときます。

https://github.com/matsuokah/fastlane-swift-sample

今回省コード化のために抜き出した設定ファイルです

https://github.com/matsuokah/fastlane-swift-sample/blob/master/fastlane/swift/FastlaneSwiftRunner/BuildContext.swift

ハマったこと

  • FastlaneRunnerをgit管理下に置こうとして失敗する
    • gitignoreに追加しました。また、バイナリなので12MBほどの大きさです。毎度FastlaneのSwift部も勝手にビルドが行われて、バイナリが再度生成されるので追跡しなくていいと思います。
  • ルビーでは配列で扱っている部分もすべてStringになっている
    • Crashlyticsのgroupsとかがそうなのですが、rubyだと["tester1", "tester2"]のように配列を指定できますが、SwiftではインターフェースにはString採用されているので使い方に工夫が必要になりそうです。
  • 現状、メソッドにパラメータを渡していない
    • 試してはいないのですが、フック部では_ = fastfileInstance.perform(NSSelectorFromString(laneMethod))と書かれていることから、引数が使えないのでは?と妄想しています。

まとめ

ということで、まだまだexperimantalで機能的にまだ満たされていない部分もありますがそこはPRポイントですね!
若干のワークアラウンドが発生しますが、FastfileがSwiftで定義でできるようになったことでグルーコードが非常に書きやすくなったかと思います!
個人的にはRubyが書けるならRubyでいいなと思います。あくまでRuby主導なリポジトリですので、Rubyで直接実行できるにこしたことはないです。

https://github.com/matsuokah/fastlane-swift-sample